便秘を長く放置するとどうなる?研究からわかる便秘の影響

便秘の影響PC

目次

    便秘の放置は生命に関わる?

    実は便秘を放置していると、生命にまで影響を及ぼすことがあるようです。
    このページでは便秘を放置するとどのような影響があるのかについて、長期間にわたって調査された研究報告をご紹介します。

    便秘と生存率の関係(海外データ)

    アメリカで20歳以上の3,933人を対象に行われた便秘の人とそうでない人の生存率を比較した調査によると、調査を始めて15年後には便秘の人の生存率が2割以上低下していたと報告1)されました。
    便秘症の有無による生存率の比較 (海外データ)
    1)Chang JY, et al. Am J Gastroenterol. 105(4), 822-832, 2010.

    Limitation:研究対象者の約90%が白人集団である等

    便秘と循環器系の病気の関係

    便秘と心血管系の病気(海外データ)

    アメリカの退役軍人3,359,653人を対象に行った便秘と心血管系病気の発症リスクに関する大規模調査では、便秘の方はそうでない方と比べて冠動脈疾患・狭心症・心筋梗塞・冠動脈血行再建術・虚血性脳血管障害などの心血管系の病気発生リスクを上昇させるという報告2)があります。
    冠動脈疾患、虚血性脳血管障害と便秘
    2)Keiichi Sumida, et al. Atherosclerosis. 2019 Feb:281:114-120.

    Limitation:研究対象者は米国の退役軍人で構成されている等

    便秘と脳卒中・循環器疾患による死亡との関係性

    40歳~79歳の日本人男女45,112人を対象に、便秘と心臓や血管に関する病気の関係性について約13年間調査した研究3)では、1日あたりの排便回数が少ないと脳卒中や循環器の病気で命を落とすリスクが高まることが報告されています。そして、そのリスクは1日あたりの排便回数が少ないほど高まります。

    排便回数と脳卒中/循環器疾患による死亡との関係性

    3)Kenji Honkura, et al. Atherosclerosis. 2016 256, 251-256より作図

    Limitation:排便回数に関するデータはベースライン調査前の1年以内に限られた等

    commentary_avatar 監修医ワンポイント解説

    便がなかなか出ないときにしてしまう「いきみ」は、血圧が上昇して血管に負担をかけてしまいます。特に、高齢者はもともと血圧が高めな方が多いので注意が必要です。日頃から便が硬くて出にくいと感じている方は、かかりつけの先生に相談しましょう。

    便秘と腎臓系の病気の関係(海外データ)

    アメリカの退役軍人350万人(90%以上が男性)を対象にした大規模研究では、便秘の方において腎機能が悪化しやすく慢性腎臓病や末期腎不全の発症リスクが高いことが報告4)されています。

    慢性腎臓病と便秘の重症度
    末期腎不全と便秘の重症度
    4)Keiichi Sumida, et al. J Am Soc Nephrol. 2017 Apr;28(4):1248-1258

    Limitation:研究対象者の大半が米国の退役軍人である等

    便秘と神経系の病気の関係(海外データ)

    9つの研究をまとめた論文によると、便秘の人はそうでない人と比べてパーキンソン病を発症するリスクが2.27倍であることが報告5)されました。

    5)Kerala L Adams-Carr, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2016 Jul;87(7):710-6.

    便秘は放置せずに病院で診てもらいましょう

    便秘を放置すると生命に関わるような体への影響があることがわかりました。たかが便秘と思わず、将来のご自身の健康やご家族の方のためにも、まずは医師に相談してください。
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    便秘でお困りの方は、
    医師に相談しましょう

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    監修者(中島先生)

    監修

    横浜市立大学大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室 中島 淳 先生 

    横浜市立大学大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室 主任教授、診療科部長。医学博士。
    1999年から2001年までハーバード大学客員准教授を務め、腸管免疫の研究にあたる。医療従事者向けの「便通異常症診療ガイドライン2023」作成メンバーとして尽力し、海外の便秘薬や最先端治療に精通。
    ※2025年1月現在の情報です。

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